くるり
【LIVE REPORT】

「くるりと申します、よろしくお願いします。ありがとう」
そんな風に岸田繁が告げ、ライヴはスタート。「♪ジャジャッ!」というイントロの一音で大きな歓声が上がる。“ワンダーフォーゲル”だ。四つ打ちのビートと多幸感あるハーモニーがフロアを歓喜で包む。ファンファンのトランペットもカラフルに曲を彩る。そうして1曲目からオーディエンスの心をグッと掴むと、6/8拍子のゆったりとしたグルーヴと歌心がスケールの大きな叙情性を描く“ブレーメン”、軽快なメロディのポップソングから徐々にカタルシスに上り詰めていく“ロックンロール・ハネムーン”と続ける。


「いろんな格好いいロックバンド出てるんですけど、僕らもロックなんで、呼んでもらえてよかったです」
そんな風に岸田繁は言っていたけれど、この日の彼らはまさにロックバンドの旨味成分をギュッと濃縮したような風格に満ちていた。披露したのも、ハッピーだったり、切なかったり、深く胸に染みる浸透力を持ったナンバーばかりだ。終盤に披露したのは、ミドルテンポの優しいメロディが折り重なっていく新曲“loveless”。そして郷愁に満ちたメロディを感情たっぷりに歌い上げる“虹”。沢山の人が聴き惚れていた。




ライター:柴 那典/カメラマン:橋本 塁(SOUND SHOOTER)