THE BACK HORN
【LIVE REPORT】
続いての登場はTHE BACK HORN! 結成15周年を迎えた2013年を経て充実の季節にある彼らが「ビクターロック祭り」で見せたのは、ロックバンドとしての強烈な血気と挑戦心に満ちたスピリット。変わらぬ「気迫」と鮮烈な「新章」を見せてくれた。
荘厳なSEのオープニングに導かれて登場した4人がまず披露したのは、2月19日に両A面シングルとしてリリースされたばかりの新曲“コワレモノ”。低くささやくように始まる山田将司 (Vo)の歌声には、ゾクっとするような緊迫感が宿っている。そのまま“声”“罠”と激情に満ちたナンバーを連発。フロアからは無数の拳が上がり、熱気とテンションがどんどん高まっていく。
そして彼らは“シリウス”から“バトルイマ”へ、オーディエンスを力強く鼓舞し一体となる今のバンドのモードを見せる。「ライヴという大切な時間は、俺たちがいかにエネルギーを放出できるか、それをみんながどれくらい感じられるかだから――」と松田晋二 (Dr)が呼びかけたように、まさに言葉にならないエネルギーをそのまま塊としてぶつけるようなステージだ。
続いて披露したのはこちらもリリースされたばかりの両A面シングルに収録された新曲“シンメトリー”。前のめりなビートにキラキラと眩しいメロディとハーモニーが舞う、バンド史上最もポジティブでキャッチーな曲だ。おそらくこの場で初めて聴いただろうお客さんの中にも、そのチアフルな興奮が、さざ波のように伝わっていく。
「ビクターと一緒にメジャーデビューして、いろんなアイディアや思いをわかちあいながら音楽が生まれるのを実感して。そうして自分たちはいい音楽を作り続けてこれたと思ってます。いろんな音楽の形があると思うけれど、結局は信頼関係だと思うから」
松田はそんな風にMCで語った。そしてラストは“コバルトブルー”から“刃”へ。菅波栄純 (G)は髪を振り乱し、岡峰光舟 (Ba)はベースを振りかざし、山田は汗まみれになって叫ぶ。4人の「全身全霊」がリアルに伝わってくる。まさに「信じられるバンド」としての姿を見せた数十分だった。
ライター:柴 那典/カメラマン:橋本 塁(SOUND SHOOTER)